イヌの遺伝子-(3)犬の遺伝的な疾患

●犬の遺伝的な疾患

人間が犬の繁殖をコントロールして、好ましい体型や運動機能、気質といったものを求めて、交配を繰り返してきた結果、犬種特異性のある疾患が起こりやすくなりました。

また、交配のプロセスを効率化するために、しばしば近親交配が行われましたが、そうすると好ましい遺伝子だけではなく、好ましくない遺伝子も固定化されてしまい、それが遺伝的疾患になります。現在、犬には250種類もの遺伝病があり、90種類は劣性遺伝子、15種類は優性遺伝子、そして45種類が複数の遺伝子の組み合わせによって起こるとされています。

コリーの視神経形成障害(コリー・アイ)、ジャーマン・シェパードやゴールデン・リトリーバーの股関節脱臼症、チワワの水頭症(脳室内に脳脊髄液が貯まって、脳組織を圧迫して障害をおこす)、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルの心臓疾患、ダルメシアンの難聴などが、遺伝性疾患としてよく知られているものです。

バーニーズ・マウンテン・ドッグは、病気に対する防衛機能が低く、心臓障害、関節異常、ガンなどの疾病にかかりやすいと言われています。

その他にも、ゴールデンレトリーバーやシュナウザーの甲状腺機能低下症、ダックスフンドのてんかん、副腎皮質機能亢進症、後天性脱毛症、チワワの陰睾(オスの睾丸がお腹の中に一つ残っている状態で、精巣の腫瘍の発生率が高くなる)などの遺伝的疾患があります。

目の疾患にも遺伝性が認められるケースがたくさんあります。「白内障」や「逆さまつげ」は遺伝すると考えられています。

最近、多く見られるのがPRAと略して呼ばれる「進行性網膜萎縮」という病気で、網膜の血管がどんどん萎縮していき、目が見えなくなってしまうものです。暗くなると眼が見えなくなる夜盲症が初期症状で、進一度発症すると進行を止めることができず、白内障などを併発したりして、最終的には失明するというものです。トイプードルに多い遺伝性疾患です。

最近、話題になったのが、死の病と呼ばれている「セロイド・リポフスチン症(NCL)」です。てんかん発作、不安、恐怖、視覚障害、歩行異常、方向感覚の喪失、奇妙な行動などの症状が出て、現時点では治療法がなく、100%死亡する遺伝性の疾患です。

日本では、別々に飼われていた2頭のボーダーコリーがいずれも2歳過ぎに発症し、2ヶ月後に死んだことから、「2年2ヶ月で突然死する謎の病気」と紹介されました。

発症しやすい犬種は、ボーダーコリーだけではなく、イングリッシュ・セッター、コッカースパニエル、ラブラドール・レトリーバー、チベタリアン・テリア、M.シュナウザー、オーストラリアンキャトルドッグ、ダルメシアン、サルーキー、M.ダックスなどが挙げられています。

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