イヌの脳の発達と性格形成-(4)臨界期

(4)臨界期

動物の赤ちゃんは、最初に感覚を刺激された動く物体(=ふつうは親)によって、脳に、自分がどんな種に属するのかを、刷り込まれます。

この刷り込み現象は、「インプリンティング」と呼ばれ、1935年にオーストリアの行動生物学者、コンラート・ローレンツ博士によって、発見されました。

カルガモ一家

産まれて間もない雁のヒナは、親鳥の後を追いまわします。

ローレンツ博士は、人間によって孵化されたヒナは、周りに人間しかいない場合には、世話をしてくれる人間の後を追うようになり、しかも、成長してからも、雁のメスには目もくれず、人間に対して求愛のダンスを踊るのを目にしました。

そして、ヒナの脳に、「自分が属する種は人間だと刷り込まれた」と考えたのでした。ローレンツ博士は、動物が最も刷り込みをしやすい時期を、「臨界期」と呼びました。

動物の多くは、「臨界期」に刷り込まれた種だけと、社会的きずなを結ぼうとします。

マガモの場合には、生後14時間頃が、最も刷り込み反応をしやすい「臨界期」で、その時に出会った動くものが、わずか10分間でヒナの脳に刷り込まれることが発見されました。人間だけではなく、例えば青い風船に対しても、マガモのヒナは、それを自分の同類だと思い込みます。

そして、マガモの臨界期は、生後2日までで終わることも分ったのです。

生後まもない限られた時期に「臨界期」があるのは、雁、鴨、ひつじ、うしなど、赤ちゃんがかなり成長した状態で産まれて、生後数時間以内に動きまわれるような早熟な動物に共通するものです。

未熟な状態で産まれて、しばらくは親に世話をしてもらう犬の場合には、生後3週間ごろから臨界期が始まるのではないかと考えられています。

犬の臨界期はいつ頃までかという点については、ある程度の柔軟性があると言われ、そのため、犬の場合には、臨界期ではなく、「敏感期」と呼ばれるようになっています。

(参考図書)

「犬も平気でうそをつく?」 スタンレー・コレン著 文春文庫刊

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