人はなぜ犬を飼うのか-(10)ペットに求めるもの

●ペットに求めるもの

精神科医の香山リカさんは、その著書「イヌネコにしか心を開けない人たち」(幻冬舎新書)で、ペットを溺愛する人たちを3つのジャンルに分けています。

*愛すべき人の代替としてペットを溺愛する人

 (愛情の対象を得られない仕方なくペットに)

*人間を愛さずにペットに愛情を向けている人

 (愛情の対象がいても、それを放置してペットに)

*結婚しない、子どももいらない人

 (愛情の対象を求めることもなく、自然にペットに)

家族とは、「代わりのきかない関係、長期的に信頼できる関係、かけがえのないきずな、愛情あふれる関係、そして、気を使わずに自分らしくいられる関係」と定義されています。

「人は、基本的に自分の家族を持ちたいという欲求を持っている」と考えた場合、

核家族化が進み、子どもや孫と一緒に暮らせなくなったお年寄りがその替わりとして犬を飼う、あるいは少子化で兄弟がいない子どもにその替わりに犬をペットとして飼ってあげるという場合には、ペットが家族の代替としての役割を担っていることになります。

家族への満たされない欲求が、ペットの犬に向かうのです。特に小型の愛玩犬が好まれるのは、赤ちゃんのように抱けて、温かく、しゃべれないけれど飼い主とのコミュニケーションがとれる「永遠の一歳児」だからです。そして、飼い主と犬との間には、それぞれを個として認識できる関係があって、お互いに「代わりのきかない関係」になっています。

お金がないわけでもないのに、義務教育の給食費を滞納している親のいいわけで、「携帯電話代がかかる」と並んで取り上げられるのが「ペットの美容代がかかる」というものだそうです。給食費よりもペットのおしゃれの方が先ということは、大切なものを放置しても、ペットを優先しようとする本末転倒なタイプの人です。

「独身王子に聞け!」(牛窪惠著 日本経済新聞社)には、「自分の仕事や生活を犠牲にしてもペットのために」と考えるシングル男性が増えているという報告があります。「ペットとの時間を大切にしたい」と仕事をやめてしまった事例や、彼女が犬嫌いだったから別れたという事例が紹介されています。

「家族がいない」「結婚できない」といった何かの代償にペットを飼っているわけではなく、仕事をもって経済的にも自立している人を新しく出現した第3のタイプと定義づけています。彼らは、ペットを人間以上のパートナーであり子どもであると考えている場合が多く、あせりも劣等感もない人たちです。

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