アニマルセラピー-(4)グリーン・チムニーズ

グリーン・チムニーズは、米国・ニューヨーク郊外の町、ブリュースターにあります。情緒障害児の更正プログラムとして動物とのふれあい活動を取り入れる、世界的にも著名な児童更正施設なのです。

敷地面積64万㎡のグリーン・チムニーズには、150エーカーの牧場、農場、野生動物保護センターなどの他に、温水プール付きの校舎、寄宿舎、病院、スポーツ施設や娯楽施設まで設けられています。

グリーン・チムニーズに入所できる児童には、年齢制限があって、男子は6~12歳、女子は6~10歳となっています。女子の年齢が若いのは、女の子は成長が早いので、12歳を超えると治療効果が落ちるからという理由です。子どもたちは、ここで平均して2年間にわたり治療を受けます。

教育委員会や児童保護局といった公的機関が、入所基準に合った子どもたちを、グリーン・チムニーズに送り込みます。

その大半が、虐待行為の被害者であったり、暴力行為などの素行に問題のある子どもたちです。また、85%が情緒障害を抱えていると診断されています。

彼らが実際に非行に走ったり、罪を犯したりしてしまう前に早期介入して予防しようという考え方を基本とする取り組みです。

子どもたちは、牧場の豚、馬、ヤギ、ラマ、ニワトリなどの350頭の家畜たちや、保護された野生動物のリハビリを行ないます。そして、動物たちが心身の傷を癒していくプロセスにふれることで、自分自身の心の傷を治していくことになるのです。

子どもたちのおかげで、傷を癒された動物たちが、また、生き生きとした生命力を取り戻すのを見た時、子どもたち自身の心に、命の大切さや自尊心、信じる気持ちが芽生えます。それが、いつか社会に戻る勇気につながっていくのです。

グリーン・チムニーズには、いろいろな施設と連動した更正プログラムがあります。農場には、家畜の飼育プログラム、野生動物保護センターには、野生動物のケア・プログラムが、そして、有機農業プログラムや庭園の植物管理プログラム、さらには、敷地内の建物の修理プログラムなどがあり、子どもたちは自分が興味を抱いたプログラムを選ぶことができます。

自然とふれあうことでの治療の効果には、次のようなことがあげられています。

*命の大切さを学ぶ

出産の手伝いや重傷の動物のケアなどをすることで、命を慈しむ気持ちを知ることができる

*自分の存在価値に気づき、自分を大切にすることを学ぶ(自尊心)

自分には価値がないと思い込んでいた子どもでも、自分が動物にとって頼られる存在になることで、自尊心が産まれる。

*愛される経験をする

虐待を受けたりしたことで、人に対して心を開くことができない子どもでも、動物には心を開ける。動物からの愛を受け取り、愛される経験をすることが、やがて他者を愛する気持ちを育む。

子どもたちは、与えられた仕事をやりとげるプロセスで、責任感や共同作業に必要な協調性なども養います。

グリーン・チムニーズで傷を癒した野生動物たちは、自然に戻されますが、そこには、厳しい生存競争がまちかまえています。それと同じように、この施設を卒業した生徒たちにも、競争社会が待っているのです。

創設者のサミュエル・B・ロス博士は、次のように語っています。

「卒業後の子どもたちの将来の確約は、何もありません。私たちがここで子どもたちにしてあげられることは、社会での基本的な適応性を育む手助けです。」

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