犬のしつけ-(7)犬が学習するということ

●犬が学習するということは

「犬が学習する」とは、特定の刺激に対して、新しい反応をするようになることで、吠えるとかすわるといった動作だけではなく、よだれを出す、はいせつするといった身体の反応も含まれます。

(1)「パブロフの犬」の実験に見られる条件反射

ロシアの行動学者パブロフが、犬にベルの音を聞かせてから食べ物を与えることを繰り返したら、犬はベルの音を聞いただけで、よだれを出すようになったという有名な実験です。

食べ物とベルの音という対の刺激を与えることで、ベルの音だけでも唾液が出るという反応が学習されたのです。このような「自律神経系の反応」を「条件反射」といいます。

「トイレのしつけ」は、この条件反射を使います。決められた場所、材質、形などを備えたところでだけ、「排泄」という体の反応が起こるように学習させるのです。

そうした学習を利用して、行動に変化を生じさせる方法を「条件付け」と呼び、古典的条件付けとオペラント条件付けのふたつがあります。

パブロフの犬は、古典的条件付けです。

オペラント条件付けは、犬のある行動の結果によって、その行動自体が増えたり、減ったりする過程を言います。

「行動が増える」

正の強化 : 行動の後に好ましいものが現れるとその行動を増やす

負の強化 : 行動の後に嫌なことが無くなるとその行動を増やす

「行動が減る」

正の弱化 : (罰) 行動の後に嫌なものが現れるとその行動を減らす

負の弱化 : (罰) 行動の後に好きなものが無くなるとその行動を減らす

行動の直後に良いことが起こると、犬のその行動は、将来的に発生する可能性が高くなります。このように行動が増えることを「強化」といい、例えば行動の直後にごほうびをあげて行動を増やそうとすることを「強化する」と呼びます。

逆に行動の直後に嫌なことがあると、その行動は将来的に減っていく可能性が高くなります。このように行動が減ることを「弱化」あるいは「罰」と呼びます。

犬のトレーニングでは、「正の強化」を用いて行う、犬に優しくてわかりやすいトレーニングを導入するようになっています。

ある行動の完成までの過程をいくつかのステップに分けて、徐々に完成に近づけていくことを「シェイピング(行動形成)」と呼びます。

(2)意図的な学習

犬が学習する場合、意図して反応を起こさせる学習と偶然に起こってしまう学習があります。

意図的な学習の代表は、犬の服従訓練です。「おすわり」という命令語が刺激に反応して、「すわる」という行動が起こるようにするといったものです。

人間と違って、犬は「道徳」といった抽象的な概念を持っていません。ですから、「テーブルの上から食べ物を盗み食いすることは悪いことだ」という理解はできません。

「盗み食いしたら、飼い主に叱られた」ということを積み重ねて、してはいけないことだと覚えていくのです。そのように叱る、ほめるといったことの積み重ねで、しても良いこと、してはいけないことを学習していきます。

(3)意図していない時、偶然に起こってしまう学習

普段はめったに吠えることのない愛犬が、ある朝、「ワンワン」と吠えたので、「少し運動でもさせれば満足して静かになるだろう」と散歩に連れ出しました。しばらくして、また吠えたので、散歩に連れていきました。それを繰り返しているうちに、その犬は毎朝のように吠えて、散歩をせがむようになってしまって、飼い主を困らせています。

このような偶発的な学習が、深刻な問題につながっていることは、少なくありません。

子犬の場合には、生後4週で他の犬の行動を見て、そのやり方を覚えて、真似をするようになることが報告されているので、そのような学習能力は小さいうちから備わっているのです。

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