犬の食生活-(5)母乳と免疫抗体

●初めて口にする食べもの「母乳」と免疫抗体について

新生児期の子犬は、わずかな胃液しか分泌できませんが、母乳に含まれている乳タンパクは、胃液がなくても、完全に消化されて、吸収されます。

子犬は生まれてすぐ、母犬の乳首に吸いつきます。そして、子犬は生まれてから3~4週間は、母犬の母乳を飲んで成長します。

授乳中の子犬は、母犬からもらった免疫成分に守られています。母乳で育てられた子犬は、人工乳で育てられた子犬に比べて、幼齢期の炎症性腸疾患や下痢がずっとおきにくいのです。

母乳には、胃腸が正常に発達するための成長因子も含まれています。この成長因子に十分にさらされないと、子犬の胃腸の完全な成長や適切な時期での成長が遅れます。

分娩後2日間だけ分泌される母乳が初乳(コロストラム)です。初乳は黄色がかっていて、半透明で、通常の母乳よりもはるかにタンパク含有量が高いものです。

生まれたばかりの子犬にとって、生後48時間以内に初乳を飲むことは、とても大切です。

初乳には、高い栄養が含まれていて、子犬の最初の排便をうながす作用もありますが、何より大切なのは、免疫グロブリンが含まれていることです。

免疫グロブリンは、もともと体内にあるタンパク質で、病原性の微生物を見つけてやっつける働きをする移行抗体です。

子犬は初乳を飲むことで、体を感染症から守るための抗体の95%を受け取ります。そして、約16週間は感染症から守られるのです。

抗体は、腸粘膜から吸収される栄養素よりもサイズの大きい分子です。それが体内に吸収されるのは、子犬の小腸粘膜のバリアが十分に発達していないからです。(小腸粘膜の物理的バリアの多孔性と呼びます。)抗体は、粘膜バリアに開いた穴を通って、体内に取り込まれるのです。

子犬は、生後36時間を過ぎると抗体を吸収することができなくなります。 人間は抗体を母親の子宮の中で胎盤を通じて受け取りますが、子犬の場合には、母犬の初乳から受け取るので、子犬にとっては初乳を飲むことは、その後、健康で成長するための大切なものなのです。

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